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5 月 鮎とパンティー

つねづね自分も含めて、鮎釣り師は総じて
スケベじゃなかろうかと思っている。
あの有名な格言、
「鮎はパンティーのシワを釣れ!。」
この言葉を本で見つけたときには、目から鱗が落ちる思いだった。
な、なんと的確な表現なのだ!。
友釣りは難しいが、スケベは簡単だ。

なんせ、スケベで覚えるインターネットなぞという怪しげな本の立ち読 みに影響されてインターネットを始めたという、いい加減人間だ。
この格言を考えた人は、おおいに尊敬されるスケベであろう。
とにかく、自分みたいな凡釣り師には、分かりやすい事この上ない。
それまでは、何々釣法、何々仕掛けと鮎に関する教書をオフの間読み ふけっていたのがアホらしくなり、パタリと止めてしまった。
どんな名人の解説もこの格言には勝てないと思ったからだ。

それからというものは鮎シーズンになればホームグラウンドの手取 川で、パンティ−捜しに明け暮れるようになってしまった。
瀬肩が盛り上がって、三角形で波立ちが適度にあるポイントなど見つけ た時なぞ、艶っぽい年増女のパンティーを覗いたごとく、 「ワオーッ」と、恥も外聞もなく歓喜して、そこへ一直線だ。  そしてパンティーのゴムのあたりにそっと立って、ガードが固いか、緩いかを見定める。
ゴム(流れ)が強いと、
「この女は身持ちが良いので、攻略は難しそうだな。」
逆にゴムが緩く、こんもりと盛り上がっていれば、
「何といい女にあたったんだ、人生最良の日だぞ!。」
そんな時はあたふたと養殖オトリに鼻環を通しながら、そっと言い聞かす。
「いいか間違っても局部には触るなよ、お前にはまだ早い。パンティーのフチだけそっと 撫でるように泳ぐんだぞ。」
他人が聞いたら、”こいつはアホか”と思われそうなことを真顔で言いながらオトリを放してやる。
目印がスーと出て行くのを目で追いながら、
「優しく、優しくだぞ、あせるなよ・・・。」

だがその内、たいがい誰かが向こう岸より彼女のパンティーの 中に手(竿)をいれてくる。 そちらにすぐに野鮎が掛かろうものなら、自分の彼女が浮気でも しているがごとく腹が立ち、それまでやさしかった愛撫が荒々しくなり、オトリを引っ 張りまわしている。

  こんな調子で鮎釣りをしていると、そのうち、川そのものが巨大な女体に見えてくるから不思議だ。
川の中にちょっと良い石があれば、パンティーの下のホクロを想像し、 曲がり角から下流の瀬肩はくびれた腰部を想像しているようでは、もはや 何をか言わんだ。

  ある年、辰口橋の上流に涙がでるほどのいい女を見つけた。
腰は適当にクビレ、臀部はなめらかな曲線を描いている。
おまけにその上流に大きな石が二つあり、あたかもオッパイのように見える。
瀬肩のあたりを覗いて見ると、ハミ跡で石が真っ黒に輝いている。
「黒のビキニのパンティーだ!。」
案の定、良型の入れ掛かりになった。
次から次へとパンティーの中から鮎が飛び出してくる。
1日釣って65尾は上出来だ。
その日から、恋人の寝所へ通う間男よろしく、しげしげとその場所へ通うことになってしまった。 おかげでその年は、年間の釣果記録を書き換えるオマケまでついた。

  そんなわけで、その年のオフの間もそのパンティーを想像しながら、 そこに合わせた仕掛け作りにいそしんだ。
”フチのフリル部分を触るときは、優しくナイロン0.15か?。”
”局部に侵入するときは、強く金属0.07だな。”
”彼女に抵抗されても、忍ばせた手は絶対放さないぞ。それなら4本錨をもう30本も巻いておくか。”
O型の性格丸出しは、死んでも直らないだろう。
面倒な仕掛け作りも鼻歌まじりで、とにかく楽しくってたまらない。
解禁1ケ月前にはパンティー攻略仕掛けが出来上がってしまった。

  そのころ、手取川河川敷第○○号改良工事で、愛する彼女のヘソの上 にブルトーザーが鎮座して、かわいいいビキニのパンティーを掘り起こし、 ステテコのようにされているとも知らないで!。

オーイ、もう何々名人の何々釣法の本には飽きたので、誰かスケベで覚え る友釣り教書を書いてくれー。
 

−鮎三昧−
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