三次元の夏模様
今年の春は駆け足で過ぎた。
寒い三月が終演を告げると、待ち兼ねた桜が、またたくまにその身を艶やかに着飾った。薄紅のシルクを纏い、高らかに春の到来を歌いあげた。
いつもの春の一場面。しかし、今年は少し違った。春の訪れに心踊らせる間も無く、桜は、その姿を変えた。気付くと、早くも夏の装いに。
その様子に比例して、束の間の春風は、夏のきらめきを憶えた。暖かな日射しは、たちまち眩しく燃え上がった。まるで真夏の一場面。
今年の春は駆け足で過ぎた。
熱を帯びた空間は、三次元の夏模様。
01/5/29