あの日に

       

あの日に帰りたい
椎の実拾ったあの日に

果てしなく長い一日
溢れる好奇心を汗に変えて
駆けずり回ったあの頃
泥だらけのズボンとスリ傷が勲章だった

何の計算もなく
繕うことも知らず
ただ心のままに
純粋を生きていた

生きることの痛みも
嫉妬に乱れることも
醜い欲望も
まだまだ遠い先のこと

日がな一日遊びまくった僕らは
五時のサイレンに叱られて
蜘蛛の子散らして家路についた

ひとつ ふたつ明りが灯りはじめる
早足の僕の右側には
背伸びした影が急ぎ足

家からこぼれる
カレーの匂いに誘われて
傷だらけのヒザ小僧が弾む

あの日に帰りたい
椎の実拾ったあの日に

出来るものならば