旅人は死なず

       

旅人が倒れた
どこから歩いて来たのか
延々と足跡が続いている

随分長い旅だったのだろう
ボロボロの衣服は黒くくすみ
靴底のなくなったスニーカーは
果たして元は何色だったのか

伸び放題の髪
無精髭

しかし
その死に顔は穏やかに微笑んでいる
どこか満足気に

旅人は死んだ

だが君 悲しむことはない
決してこれが終りではないのだ

旅人の身体はやがて朽ち
草花が覆い尽くすことだろう

旅人は
花となって生きる
土となって生きる
水となって生きる
風となって生きる
 

山となって生きる
海となって生きる
空となって生きる
宇宙となって生きる