第13回  「明珠在手(みょうじゅたなごころにあり)


誰もが自分の中に「よさ」を持っている


明珠(みょうじゅ)とは透明な珠玉(宝石)のことです。ダイヤモンドが磨けば磨くほど輝きを増すように、明珠も磨き込んでいけば輝きを増していきます。それと同じように、人間も善行に励めば励むほど、人間性に磨きがかかり、輝きを増していきます。

そんな我々人間が誰しも生まれながらに持っている明珠を「仏性(ぶっしょう)」と申します。涅槃経に「一切衆生悉有仏性(いっさいしゅじょうしつうぶっしょう)」とありますが、誰しも仏性という明珠を持っていて、その存在に気づき、一心に磨けば、必ず仏に近づけるというのです。それが「成道(じょうどう)(悟りの道を完成させる)」ということです。

果たして、我々は自分の中に明珠が存在していることに気づいているでしょうか?そして、明珠のお掃除等、定期手なメンテナンスを行っているでしょうか?日々の生活に追われる中で、ついつい忘れ去られてしまいがちな明珠のメンテナンスを意識し、できるだけきれいな状態に保っておきたいものです。

ちなみに、仏になることを「成仏(じょうぶつ)」と申します。それは死後の世界の話だけではありません。生きている間にも深く関係している「仏教徒の目標」です。その目標を少しでも達成できるよう、自分の中に眠る明珠に気づき、常にきれいにしておきたいものです。