第12回  「参禅(さんぜん)―坐禅に帰依する―」

()参禅(さんぜん)



坐禅の具体的方法について触れていく前に、「参禅」という言葉を味わってみたいと思います。

「参禅とはいったいどういう意味なのか・・・??」また、「坐禅と参禅は何が違うのか・・・??」―非常に興味深いところです。

坐禅一筋に生きた名僧・内山興正(うちやまこうしょう)老師(明治45年〜平成10年)は、「参禅」を「坐禅に無条件降伏すること」だとおっしゃっています。(著書:「普勧坐禅儀を読む」)内山老師のお言葉をお借りするならば、「参禅」の「参」は「参る」という意味があるように、参禅とは坐禅に自分の全てを合わせるということ、すなわち、「坐禅に帰依すること」だと捉えることができます。

「坐禅に帰依する」とは、どういうことなのでしょうか・・・?

それは、毎日、坐禅をしなければ、どうにもすっきりしないと思えるほどになったり、坐禅のおかげで心安らかな日々を過ごせると感じられるようになったりすることです。そうしたレベルまで坐禅に対する精神状態を深め、坐禅で身心を調えながら毎日を過ごすことが、「参禅(坐禅に帰依すること)」なのです。

本来ならば、毎日、坐禅をする時間があることが理想ではありますが、坐禅による身心の調整を意識しながら、毎日を過ごすことも、ひとつの「参禅」というあり方ではないかという気がします。自分を調えながら、日々を過ごすことを「参禅」という言葉から味わっていきたいものです。