第6回「唯一最上の生き方 ―仏様とともに生きる―


但般若(ただはんにゃ)尊重(そんじゅう)するが故に日日三時(にちにちさんじ)礼拝(らいはい)し、恭敬(くぎょう)して、更に患悩(げんのう)の心を(しょう)ぜしむること(なか)


「正法とともに生きる」とは、お釈迦様のお悟りやみ教え(般若)に従い、日々の生活の中で実践していくことであるというのが、前段でのお示しでした。

それを今回の一句では、「般若を尊重するが故に日日三時に礼拝し」と表現されています。
これは常に仏様に敬意を払い、そのみ教えを大切に護りながら、日々の行いにしていくことです。「日日三時」というのは、“毎日三時になったら”というのではなく、“いつでも、どんなときでも”と解すべきでしょう。仏様に対して、どんなときでも恭敬(相手を敬い尊ぶこと)の意を示しながら言動を発することができるということです。

だから、仮に何か大きな悩みを抱えるような出来事に遭遇したとしても、仏様に救いを求めるのです。そうすることで、必ずや救いを得られると道元禅師様はおっしゃいます。「日日三時に礼拝し、恭敬して、更に患悩の心を生ぜしむること莫れ」とは、私たちが常日頃から仏に深く帰依しているならば、患悩(思い煩ったり、悩んだりすること)が生ずるような場面に出くわしても、必ずや救われ、問題が解決していく」ということなのです。。

「仏とともにに生きていく」というのは、実は自分自身も含め、周囲の全てのいのちが心やすらかに生きていく上での、唯一最上の生き方なのです。そのことを押さえ、心がけていきたいものです。