第12回「いつやるか?今でしょ!―“今”という時間、どう生きる・・・?―」
私
平成25年(2013年)、東進衛星予備校講師・林修氏の「いつやるか?今でしょ!」という言葉が新語・流行語大賞年間大賞を受賞しました。過去・現在・未来という時間の中で、私たち人間が何か行動を起こせるとすれば、「今」しかありません。いくら過去を悔いたところで、後戻りはできません。また、明日やろうと未来に先回ししたところで、明日、確実にできる保障など、どこにもありません。私たちは、「いつ、どうなるかわからない」いのちを生かされているのです。だから、今を大切にして、今やれることは今のうちにやっておくことが正しい生き方であり、まさに、林先生のおっしゃるとおりなのです。
この林先生の「今でしょ!」というのは、実は仏教の開祖であるお釈迦様も今から約2600年前にお示しになっています。以降、今日まで多くの仏教祖師始め、林先生のような道の方々が人々にお示しになってきました。
「
そんな「今」を私たちはどう生きていけばいいのでしょうか?その解答が示されているのが今回の一句です。一つには「日日の生命を等閑にしない(一分一秒、一日24時間、いただいた時間を無駄にしない)こと」です。もう一つは「私に費やさざらんと行事する(自分の考えや都合だけを考えて日々を過ごさないこと)」です。
いただいた時間を無駄にしないということを、仏教の観点から申し上げるならば、私たち一人一人が、いただいたいのちが尽きる日まで、お釈迦様を見習い、お釈迦様に近づくことを心がけながら日々を過ごすということです。「精進」という仏教用語があります。これは「精(まっすぐで混じりけのない状態)で進んでいくこと」です。毎日の生活の中で、仏様を目指して生きていくことを心がけていくことが「精進」であり、それが、いただいたいのちを無駄にしない方法でもあるのです。
次に、自分の考えや都合だけを考えて日々を過ごさないこととは、自分勝手な生き方をしないということです。自分のいのちと言いながらも、よくよく考えてみれば、決して、自分のものではないことに気づきます。ご両親始めご先祖様、さらにはお釈迦様からいただいたいのちです。そうした“いただきもの”のいのちであるということを、是非、理解し、お悟りいただけたらと思います。
こうした点を押さえ、いのちを与えてくださった方々に報謝(報恩感謝)の意を尽くし、お釈迦様のみ教えに従って正しい言葉や行いを発していくことを習慣化させるのが、「今」という時間の過ごし方なのです。