第8回「
田宅
大きな川によって二分されている土地があります。私たちが立つこちら側を「
春分の日と秋分の日を中心として前後一週間を「
そんな「此岸」から「彼岸」に渡るための六つの方法があります。それを「
今回の一句の冒頭に「浄戒を持たん者」とあります。これが「持戒」であり、日々の生活の中で悪いことをせず、よいことをしていくことを忘れずに心がけていくことを言っています。そうした心がけを持続していくことで、私たちの日常生活の中にお釈迦様のみ教えが生きてくるのです。それが「此岸」が「彼岸」になるということであり、土地を分け隔てている川が埋まり、2つの岸が一つの地面になるということなのです。
そうした浄戒を持つ者は、意味なき不要な商売や貿易はしないとお釈迦様はおっしゃいます。また、お釈迦様は必要以上の田畑を耕したり、使用人や家畜を養ったりはしないともおっしゃっています。商売も行き過ぎると、相手も自分も滅ぼしかねないほどの物欲や金銭欲が生じてしまうことになりかねません。自分が食べていく以上の田畑を有することも同じです。また、自分が楽をしたいがために、自分がやるべき仕事を特定の他者に押し付けてこき使うことは、相手を見下し、差別的な視点で関わっていることにもなります。それらの行いは、とても「悪いことをしない、よいことをする」という浄戒を持つことからは大きくかけ離れていることは言うまでもありません。
自他共に惑わし、苦しみを深めるような行いを慎むことが「持戒」―すなわち、「浄戒を持つ」ということなのです。その具体例が示されているのが、今回の一句なのです。