第33回「折伏(しゃくぶく)の意識 −悪を断ち、善を修する心の調え方―


()の故に比丘、(まさ)に勤めて精進して、汝が(しん)折伏(しゃくぶく)すべし。


―令和2年2月27日(木)―
世間を震撼とさせている「コロナウイルス(COVID19)」の石川県内における感染者が4名となりました。国内では死者も出ています。また、日本政府は3月15日まで不特定多数の人が集まる可能性があるスポーツやイベントの自粛要請を表明しました。正体不明で、対応策も明確にはなっていない「コロナウイルス」に対して、様々な情報や意見が飛び交っていますが、そんな中でも私たち一人一人はできるだけ冷静に身心を調え、手洗い・うがい、外出時のマスク、早めの休息等の健康管理など、自分たちができる対策を施しながら、日々を過ごしていきたいものです。お釈迦様のお言葉をお借りするならば、それが自分の心を調え、辨(わき)まえて過ごすということにつながっていくのです。

そうした過ごし方を突き詰めていくならば、「悪を断ち、善を修する」ということになるでしょう。これはお釈迦様の「戒」という、生き方そのものであり、戒の受持(じゅじ)(戒を意識しながら、実践していく)ことによって、私たちの日常に安楽が訪れるのです。

そんな戒を受持して過ごすことを意識し続けながら、仏のお悟りを目指す(精進)ことによって、悪を断つことを意味しているのが「折伏」という言葉です。こうした折伏を私たちが自分の心を調えていく上で意識していくべきであり、そうすることで、毒蛇(どくじゃ)悪獣(あくじゅう)怨賊(おんぞく)始め、大火(だいか)越逸(おういつ)さえもたとえとするに足りないくらいに恐ろしい“(しん)”を調え、落ち着けてくれることをお釈迦様から学ばせていただきたいものです。