第36回 「和顔愛語(わげんあいご)


「和やかな顔」・「穏やかな言葉」で周囲と接する


私たちは衆縁和合(しゅうえんわごう)(自分と周囲のヒト、モノ、大自然等の存在が関わり合い、支え合っていること)しています。それゆえ、お互いに労わり合いながら関わっていくことが求められます。そのことを念頭に置き、和やかな笑顔を発し、穏やかな言葉を提示しながら日々を過ごすことを説くのが「和顔愛語」です。

「和顔愛語」を心がけて毎日を過ごすには、自分の心が調っていなくてはなりません。すなわち、三毒煩悩(貪り・(いか)り・愚かさ)が調整され、言葉や行いになって表に出ない状態であってこそ、表情や言葉が穏やかになるのです。心が調っていない状態で、言葉や行いを発したのでは、周囲に不快感を与え、場合によっては、争いに発展してしまうこともあります。そのことを踏まえ、できるだけ自分の心を調え、「和やかな顔」・「穏やかな言葉」が発せられるよう、我が心を調えておくことを心がけておきたいものです。

そうした心の調整をしていく上で、以下の一覧表の三点にに注意を払っておきたいものです。

(1)相手の長所を認めることを心がけ、相手に対する悪意は早めに断つ
 誰もが悪い所ばかりではありません。いい所もあります。
 万事はいい所と悪い所の両面≠併せ持っているのです。
 もし、相手に対して苦手と感じるのならば、相手の悪い所ばかり見ているからです。
 いい所にも着目すれば、自ずと自分の心が調い、悪意が消えていきます。
(2)不平不満は視点を変えながら断っていく
 周囲に対する否定的な捉え方や意見は、その場の雰囲気を乱し、暗いものにしてしまいます。
 自分の意に沿わなくても、視点を切り替え、マイナスはプラスに転じられるように。
 そうした視点の持ち主は心が調っているので、表情も言葉も穏やかです。
 
そして、どんな困難も乗り越えられるのです。
 人生を上手く歩んでいるように見える人がいます。それは本人が誰よりも自分の身心を調える努力をしているからです。
(3)あらゆる苦悩や困難にしっかりと向き合う
 マイナスをプラスに転じることができれば、あらゆる苦悩や困難は解消していきます。
 苦悩も困難も自分を成長させるために必要な壁です。
 苦悩を乗り越えた先には身心共々に穏やかで清々しくなった自分がいます。
 そして、そんな自分には恐れるものがないので、恐怖や困難に出会っても冷静でいられるのです。

衆縁和合の日常において、立腹したり、混乱したりしてしまう場面は数知れず。そんな場面に出くわしたときに、状況に流され、身心共々に乱れることなく、上記の一覧表を思い浮かべながら、平穏な表情と言葉を心がけていきましょう。