第37回「安心(あんじん)


仏法によって、心が安定し、やすらぎを得ること


世間一般には〝あんしん〟と読みますが、仏法の世界では〝あんじん〟と濁って読みます。本日(令和2年5月10日)現在、新型コロナウイルス(COVID19)が世界中に不安を与えている中で、「安心(あんじん)」が指し示すように、仏法を学び、不安を取り除いて、心を安定させ、安らかな気持ちで毎日を過ごしていきたいものです。

未知なる「新型コロナウイルス」の正体が少しずつ見えてくるようになる中で、国の緊急事態宣言の発出や不要不急の外出自粛等による感染拡大防止の風潮は、経済や各種イベント行事にも影響を与えました。そんな中で、私共の宗教界も宗教活動が制限されている状況です。「三密(密集・密室・密接)」を避けるという点では、古来よりそうした形で執り行われてきた宗教行事ですから、三密を避けた状況での対応策を見出すのは至難の業です。

こうした中で、世間ではzoom等のアプリを使って、インターネットでの会合や飲み会などが行われるようになりました。そうした流れの中で、宗教界でもzoomを利用した坐禅会や法話などを発信する動きが出てきています。私もパソコンやスマホにこれらのアプリをダウンロードし、一日も早く休止中の坐禅会を再開したいと考えているところです。苦悩を苦悩として見ていれば、マイナスの部分しか見えてきませんが、万事両面(プラスとマイナス)があることを押さえ、少し視野を広げてプラスの部分にも目を向けていくと、コロナ禍の日常の中にも喜びや希望が見いださるのではないかと思います。そうした捉え方が仏法が指し示す「安心(あんじん)」であり、zoomを用いた宗教活動を模索し、実践していくことも「安心」の為せる業のような気がします。

ちなみに、ある方丈様はfacebookを用いて、‟おうちでおはなみ”と銘打ち、街中の桜並木やお寺の境内の花を投稿しています。これまで震災等のボランティア活動を通じて、被災者の苦悩に寄り添い続けてきたことによって、コロナのような未曽有の苦悩を前にしても、動ずることなく、人々の苦悩に向き合おうとすることができるのでしょう。これぞ、まさに菩薩様の生き様であり、「安心(あんじん)」によって生み出される仏道修行なのです。