第6回 「今を大切に ―諸行無常のいのち、どう生きる?―」
「
「諸行無常」の原因は、この世に永遠不滅のものがないからです。般若心経では、それを「
それを踏まえた上で、「
さらに、「
生 | 苦悩から逃れることのできぬ人間世界にいのちをいただいた苦しみ。 |
老 | 諸行無常という道理の中で老いていく苦しみ。 |
病 | 病を受け入れていかなければならぬ苦しみ。 |
死 | いつかは死を迎えるという現実を受け止めていかねばならぬ苦しみ。 |
こうした「生老病死」のみ教えを踏まえた上で、「無老死」や「無老死尽」を味わっていくと、一つにはこの世の道理に対して、あれこれ拘らずに、受け止めていってほしいという積極的な願いが込められているように感じます。その反面で、いつの時代も人間は「生老病死」に悩み、苦しみながら生きているという現実も受け止めていきたいという願いも感じ取れます。すべては「空(実体がない)」であるがゆえに、そうした多面的な観方につながっていくような気がします。そして、そのいずれかを限定的に正解とする捉え方をするのではなく、全てが正しいという多面的な捉え方をしていく必要性があるように思います。
そうした、いつ何が起こり、どうなるかわからない「諸行無常のいのち」を生かされている私たちが、その事実をどう捉え、どうやって毎日を過ごしていけばいいのでしょうか。その解答として、「今を精一杯、生きていこう」と捉えて過ごしていくことを提示させていただきます。「いつか必ず老いや死といった苦しみが訪れるのなら、元気な今、できることを精一杯やっておこう」という積極的な姿勢で生きていくことが大切だということです。
「今を大切に生きる」ことで、いざ“老”や“死”を迎えるときが来ても、多少は苦しみを和らげることができると考えます。それは、今という与えられた時間を無駄に浪費せず、大切に生かして使うということなのです。