第13回「調心(ちょうしん)調身(ちょうしん)調息(ちょうそく)がもたらすもの」

(まさ)に自ら端心正念(たんしんしょうねん)にして度を求むべし

毎週日曜日の夕方、高源院にて開催中の「やすらぎの会(坐禅会)」―平成28年度は「姿勢を正す」をテーマに開催させていただいております。坐禅を行ずる上で、心・身体・呼吸が三位一体で調っていることが大切です。背筋をピンと張るなど、日常の一挙手一投足、誰が見ても違和感を覚えない程度に自分の姿勢に気を配っていく(調身(ちょうしん))ことで、自然と自分の心も調ってきます(調心(ちょうしん))。そして、身体と心が調えば、自ずと呼吸も調い出す(調息(ちょうそく))というのです。

姿勢を正していくには、自分が身にまとう服装はもちろん、自分の生活習慣をも正していくことが求められてきます。清潔感のある服や靴を身につけること。また、ヘアースタイルだとか、アクセサリー、バック、財布など自分の所持品に対しても、時と場に応じて、周囲に不快感を与えないような配慮をすることも「姿勢を正す(調身)」です。さらに、健康に留意して風邪をひいたりしないようにしていくことも「調身」につながっていくのです。

そうした日常生活も含め、自分の姿勢を調えようとしていくと、心そのものが調っていなければなりません。逆に、心が調って姿勢が調うこともあります。「端心正念」とは、心を調えておくことを意味します。執着心始め、自分の心の安定を乱す邪念は打ち払い、何ごとにも動じない、安定した状態を保つことです。そうした状態を保つためには、正法(しょうぼう)(お釈迦様のみ教え)を常に念じながら、仏のみ教えに従って日々を過ごす(仏と共に生きる)ことが必要となってくるのです。

そうやって常に正しいみ教えを求めながら、仏と共に日々を過ごしていくと、いつしか仏の悟りに近づいていくのです。「度」とは「彼岸の地」、私たちが日々生かされている“此岸(しがん)”の中に、少しでも川の向こう岸に存在する仏の世界(彼岸)のみ教えを生かしていくことです。

姿勢を調え、心を調え、呼吸を調える―そうした坐禅が説く我々が生きていく上での大切な3点を日々の生活の中で心がけていくことで、私たちの日常がより過ごしやすく、快適なものになっていくのです。