数珠(じゅず)(寿珠)授与

“仏教徒であることの証”としてお馴染みの“数珠”―仏前結婚式というおめでたい場であるということから、“寿珠”と表現されることもありますが、新郎新婦は式師様より授与され、自分たちの左手首に架けます。

そもそも数珠は、仏様を拝むときに手首にかけ、揉みながら使用する仏具です。原語は不明とのことですが、“数”の珠とあるように、小さな珠を輪状につないで、仏様の数を数えながらお唱えするという使い方がなされていました。そうやって仏様を拝むとき、口をついて「南無阿弥陀仏」などと、仏様の御名が出てきます。そういうことから、数珠には念珠(ねんじゅ)(“仏を念じ拝む”という意)という別名もあります。仏教の世界において長い歴史を持つ仏教徒の証を、仏教徒としていただくのが、仏前結婚式における「数珠(寿珠)授与」なのです。

珠の数としては、108個というのが基準になっているようです。これは、「百八の煩悩を退治する」という意味が込められているようです。この108個を基準として、半分の54個、その半分の27個、他にも14個や18個、21個に36個、42個といった具合に、様々な数の数珠が存在しています。

ちなみに、曹洞宗の開祖・道元禅師様は「数珠を持って人に向かうは是無礼なり」(永平衆寮清規(えいへいしゅりょうしんぎ))とあるように、数珠の使用には反対の立場を取っていらっしゃいます。その半面で、数珠が持つ仏教徒の証としての意味合い等を踏まえ、曹洞宗では数珠そのものを否定はしているわけではありませんが、開祖様のお示しも頭の片隅に置きつつ、数珠を扱っていきたいものです。