式師示訓(しきしじくん)

「示訓」とは、「教え示すこと」で、仏前結婚式を司る式師(導師)様より、これから夫婦生活を開始する新郎新婦に対して、仏のみ教えが示されます。すなわち、一佛両祖様(お釈迦様・道元禅師様・瑩山禅師様)のお示しを引用しながら、清浄なる夫婦生活は勿論のこと、新郎新婦が温かい家庭を築き、子孫を繁栄させていくことを願い、式師様が法を説くのが、「式師示訓」なのです。

「示訓」に似た言葉に、「訓示」という言葉があります。こちらは「上司が部下に教え示すこと」であったり、「注意を与える」といったりした意味があります。「示訓」において式師様は、新郎新婦を見下し、上から目線で厳しい言葉を浴びせかけるのではありません。そもそも、式師様は新郎新婦に対して、仏様に成り代わって法を説くのですから、式師様と新郎新婦に上下関係など存在するはずがありません。あくまで、双方が対等な立場にあり、一つに溶け合った状態で教えが示されていくのです。法を説く者と、法をいただく者とが平等であることが、お釈迦様以降、そのみ教えを護りながら法を説いてきた祖師方が一貫してきた姿勢なのです。そういう意味で、「式師示訓」では、まさに仏前結婚式における「同事行(どうじぎょう)」が為される場面と捉えることができるでしょう。

こうした意味合いがあることを踏まえ、「示訓」という言葉が用いられていることを押さえておきたいものです。