第5回 「流れをつかむ ―お釈迦様とのご縁を結ぶために―」
私たちが生かされているこの世とはどういう世界なのでしょうか・・・?
それは『「
大切なことは私たち一人一人がこうした自分たちが過ごすこの世のしくみを知ることです。それはこの世で生きていくには、苦しみがつきまとうという事実を受け止めるということです。
それを受け止めた上で、「どうすれば、そうした苦しみを少しでも和らげることができるか?」を考えていくのです。その答えは「お釈迦様とのご縁を結ぶこと」です。前回、「三宝帰依」というお話をさせていただきましたが、私たちが「仏とご縁を結び、仏のみ教えに耳を傾け、仏を敬う」という、仏と共に生きていくことが必要だというのです。
お釈迦様とのご縁を結ぶ―その方法はいろいろあります。言うなれば、私たちには様々な道が与えられているということです。一番簡単なのは、書店に行って、仏教書のコーナーで、何でもいいから仏教に関する本を一冊購入し、読んでみることです。「お金がもったいない!!」というのならば、図書館で借りてもいいです。とにかく何かしらの仏教書を読んでみることです。その一冊を読みすすめながら、まだ、何か釈然としない、まだ仏教が見えてこない、というのであれば、さらに別の本を買って、読んでみるのもいいかと思います。
もし、仏教書に触れ合う中で、何か見えてきたとき、今度は、その教えを実行してみることです。仏教書を読むのはお釈迦様とのご縁を結ぶにはいいのですが、読んでいるとどこかわかったような気になってしまい、教えを実践しなくなるという難点があります。仏教の教えは、いくら頭の中で暗記したところで、何の意味もありません。「やらなければ」意味がないのです。
道元禅師様は若かりし頃、仏道修行とは坐禅と
仏教のみ教えは決して、難解な哲学的思想ではありません。我々の日常生活に根付いたものであり、いくらでも日常生活の中で実行できることばかりです。たとえば、履き物をそろえるとか、食事の際に「いただきます」や「ごちそうさま」を言うとか。こうしたことを実行することで、自分にはできると思っていたようなことでも、意外とできていないことに気づきます。また、実行を継続する中で、いろんな発見があり、自然と心が穏やかになってくることもあります。
お釈迦様とご縁を結ぶ中で、次第に平穏で安らかな日常を送ることができる―それが「
この流れを体得することを願うばかりです。