いつかはアレルギーに?

今まで何ともなかったのに、突然アレルギーになってしまうことがあります。実は人にはそれぞれアレルギーの許容量が決まっています。
1) 遺伝的要因
2) 環境要因(住環境、ストレスなど)
3) アレルゲン接触量(ダニ、花粉など)
これら要因の合計が許容量を超えると、アレルギーを発症してしまうのです。


アレルギー性鼻炎とはどんな病気か?
 元々、人の体には侵入してきた有害なウイルスや細菌、寄生虫などの異物(抗原という)を認識すると、それぞれに対応した抗体をつくり、抗原を攻撃排除して生体を守る免疫システムがあります。ところが最近の過度な清潔環境や食生活の西洋化などにより免疫システムのバランスが崩れ、本来人間には無害なダニやホコリ、花粉などを抗原と勘違いし、抗体を作って、鼻の粘膜上で過剰に反応、攻撃排除している状態がアレルギー性鼻炎です。抗原(ダニ、花粉など)が鼻粘膜上の抗体と引っ付くとヒスタミンなどのいろんな化学物質が放出され、多量の鼻水、くしゃみを起こし、抗原を体外へ排除しようとします。また鼻づまりも引き起こし、抗原の侵入をブロックしようとしてしまうのです。


アレルギー性鼻炎は遺伝するか?

 親のアレルギー体質は子供に遺伝することが多いです。両親や兄弟にアレルギーがあると、アレルギー性鼻炎を発症しやすいと言えます。ただし発症時期やアレルゲンは個人個人で違います。6歳前後から患者数は増加し、最近の調査では小学生の9.3%、中学生の11.1%がアレルギー性鼻炎と報告されています。遺伝的素因を治す治療法は今のところないのでアレルギー体質(アトピー体質)と上手く付き合っていくという考え方が重要です。つまり抗原回避と対症療法(適切な薬物を用いて症状を緩和し、アレルギーや炎症の進行・悪化を防ぐ)です。


環境やストレスは影響するか?
 
 幹線道路沿いなど大気汚染のひどい地域ではアレルギー性鼻炎が多いと言われています。ディーゼルなどの粉塵が抗原と結合すると、より抗原性が高まるためと考えられています。花粉症では居住地区の花粉植物の分布や風向きなどが影響します。また自律神経の機能が低下している時は症状が出やすくなります。日頃から体調を整え、過労、ストレス、寝不足、深酒、喫煙を避け、規則正しい生活を心がけて下さい。乾布摩擦や水泳などで皮膚を刺激することにより、鼻の過敏性を低下させる自律神経の鍛錬療法も有効です。



アレルギー性鼻炎の治療法

1)薬物(抗アレルギー剤など)の内服、点鼻、ネブライザー吸入など保存的治療

2)
下鼻甲介粘膜焼灼術:当院では現在行っておりません。金沢大学附属病や、石川県立中央病院などに紹介しております。
  *1)の保存的治療でよくならない重症のアレルギー患者さんにお勧めです。特に鼻づまりに効果的です。

3)手術(下鼻甲介切除術など:全身麻酔、入院が必要)

4)舌下免疫療法:体質から改善する舌下免疫療法もお勧めです。
 毎日こつこつ3〜5年続ける必要があるが、唯一完治が期待できる。
 アレルギーの原因であるアレルゲンを舌下部粘膜から毎日少しずつ投与・吸収させることによって、体をアレルゲンに慣らし、症状を和らげたり、根本的に体質改善が期待できる治療法です。
 5歳以上で舌下に薬が保持可能なら可。スギ花粉症とダニアレルギーの2種類の薬剤があります。(健適応あり)
 詳しく知りたい方は→*鳥居薬品HPへ
               *シオノギ製薬HPへ
  


通年性アレルギーの主な原因はダニとハウスダスト。

ダニについて

* 人に噛んでかゆみを起こすダニは全体のわずか数%です。気づかないうちに増え、フンや死がいが貯まってしまうのです。
* 最近の住宅は高気密、高断熱で、ダニにはとても快適です。放置すると一年中増え続けます。
* ダニの餌は人のフケや垢です。家族がよく過ごす場所や布団の表面によく住んでいます。
* ダニのフンや死がいは乾燥し、叩いて払おうとすると1ミクロンまで粉々になり、繊維の間にもぐり込んでしまいます。

ハウスダストについて

* ハウスダストの成分はダニのフンや死がい、カビの胞子や繊維くずです。これらはとても細かく、舞い上がりやすく吸い込んでしまいます。
* アレルギーを起こす原因物質(アレルゲン)は生きたダニより、フンや死がいなどに含まれる蛋白質です。
  ダニを殺しただけではアレルゲンを除去したことにはなりません。


ダニ・ハウスダスト対策〜しっかり除去を心がける〜

*布団を干すと湿気を好むダニは弱り、増えにくくなります。日光が強い10時から14時くらいに両面をしっかり乾燥させます。
  ただしスギなどの花粉が大量に飛散している時期は室外干しは止めてください。
  また週に1度はシーツを洗って、ダニのえさとなるフケや垢を減らして下さい。

*布団を叩くとフンや死がいが更に細かくなってもぐり込んでしまうので、取り込むときは軽く払うようにします。
  その後、布団に掃除機がけをするとより効果的です。

*マットレスやカーペットなどは、よく換気をし乾燥させ、掃除機を毛足に逆らう方向で縦横十字に頻回にかけましょう。
  アレルクリンなどのスプレーをして毛足の奥のハウスダストを浮かせて固めてから掃除機をかけるとより効果的でしょう。

〜お掃除のコツをつかみ、上手にダニ・ハウスダストを除去して快適に過ごせるようにしたいですね〜