三聚浄戒(さんじゅじょうかい)止悪(しあく)修善(しゅぜん)済度(さいど)への道―」


次には、(まさ)三聚浄戒(さんじゅじょうかい)を受け奉るべし

第一(しょう)律儀戒(りつぎかい)。第二(しょう)善法戒(ぜんぼうかい)。第三(しょう)衆生戒(しゅじょうかい)なり


第3章の前半では、我々が仏法僧の三宝に帰依しながら、日々を過ごしていくことの大切さが説かれてまいりました。三宝帰依を基本とした日常生活によって、「戒」という仏様の生き方が身につき、私たちの人間性が完成されていくというのです。

三宝帰依によって身につく戒は「三聚浄戒(さんじゅじょうかい)」と申します。本文では「第一摂律儀戒(しょうりつぎかい)。第二摂善法戒(しょうぜんぼうかい)。第三摂衆生戒(しょうしゅじょうかい)なり」と提示されています。その内容を下記にまとめてみましたので、ご参照いただけたらと思います。

三聚浄戒

  1. 摂律儀戒 悪いことをしないと誓うこと(止悪)

  2. 摂善法戒 善いことをすることを誓うこと(修善)

  3. 摂衆生戒 人様のお役に立てるような生き方をするのを誓うこと(済度)

「聚」という文字には「集める」という意味があります。ですから、この3つは、個々に独立したものではなく、それぞれ関連し合い、一つに集まって「戒」を為していると解釈すべきでしょう。この3つを自らに誓い、毎日を過ごしていくことが戒を身につけて生きていくということなのです。

この相互関係を図式化すると、次のようになります。

三聚浄戒

  1. 摂律儀戒(悪を絶つ)=摂善法戒(善を行う)

  2. 摂善法戒(善を行う)=摂衆生戒(人様のお役に立てるような生き方をする)

  3. 摂衆生戒(人様のお役に立てるような生き方をする)=摂律儀戒(悪を絶つ)


3ついずれもが関連しあっていることに気づかされます。ですから、どれか一つを実践すれば、必ず他の2つにつながり、3つ全てを実践することになるのです。そうやって「止悪・修善・済度」は完成されていくのです。

次回はこの「止悪・修善・済度」をもう少し具体的に味わってみたいと思います。