第20回「十仏名(じゅうぶつみょう) 身口意(しんくい)三業(さんごう)を調える-

清浄法身毘盧舎那佛(しんじんぱしんびるしゃのふ) 圓満報身盧遮那佛(えんもうほうしんるしゃのふ) 千百億化身釈迦牟尼佛(せんぱいかしんしきゃむにふ) 
當来下生弥勒尊佛
(とうらいあさんみるそんぶ)
十方三世一切諸佛(じいほうさんしいししふ) 大乘妙法蓮華経(だいじんみょうはりんがきん) 
大聖文殊師利菩薩
(だいしんぶんじゅすりぶさ)
 大乘普賢菩薩(だいじんふえんぶさ) 大悲観音菩薩(だいひかんしいんぶさ) 諸尊菩薩摩訶薩(しそんぶさもこさ) 
摩訶般若波羅蜜
(もこほじゃほろみ)
 

今回は「十仏名」について触れてみたいと思います。十体の仏様と一つの法(大乘妙法蓮華経)の御名をお唱えしながら、仏法僧の三宝を念じるのが「十仏名」です。それを下記に一覧表にてまとめてみました。

清浄法身毘盧遮那佛 しんじんぱしんびるしゃのふ 無垢清浄なるお姿の盧舎那佛(るしゃなぶつ)で、華厳宗(けごんしゅう)がご本尊として帰依する。
法身(あらゆる場所に存在し、仏法を説く)としての仏様。(経典によって所説あり)
圓満報身盧舎那佛 えんもうほうしんるしゃのふ 圓満(仏道修行によって教法が完全に身についている)ことを意味する盧舎那佛。
報身(仏の願いの報いとして姿を現した仏様)としての仏様。
千百億化身釈迦牟尼仏 せんぱいかしんしきゃむにふ お釈迦様(釈迦牟尼仏)。
お釈迦様が千百億の世界において、種々のお姿を現し、衆生を教化することを意味する。
當来下生弥勒菩薩 とうらいあさんみるそんぶ お釈迦様滅後、56億7千万年の時を経て、衆生済度のために、この世にお姿を現すと言われる弥勒菩薩(みろくぼさつ)様。
十方三世一切諸佛 じいほうさんしいししふ 十方三世(いかなる時間・いかなる場所)にも存在している一切の仏様。
大乘妙法蓮華経 だいじんみょうはりんがきん 法華経(ほけきょう)を始めとする大乗経典。仏法(お釈迦様のみ教え)。
大聖文殊師利菩薩 だいしんぶんじゅすりぶさ 大乘経において初めて登場する菩薩様で、佛の智・慧・証の徳を代表する仏様。数多の菩薩様の中でも、「智慧第一(ちえだいいち)」と称される菩薩様(“文殊の智慧”の語源)。釈尊・文殊菩薩・普賢菩薩(ふげんぼさつ)で「釈迦三尊(しゃかさんぞん)」と呼ばれ、普賢菩薩と共に釈尊の脇侍として、釈尊の左側に坐し、安置されることが多い。尚、僧堂(修行僧が坐禅等、日常の修行を行う場)に祀られる。(この場合、聖僧(しょうそう)様と呼ばれる)
大乘普賢菩薩 だいじんふえんぶさ 文殊菩薩と共に釈尊の脇侍として、釈尊の右側に祀られる仏様。佛の理・定・行の徳を代表する仏様。
大悲観世音菩薩 だいひかんしいんぶさ 数多の菩薩様の中でも、大悲(衆生の苦悩を救済する偉大なる慈悲心)の役目に生き、その力に長けた観世音菩薩様。
諸尊菩薩魔訶薩 しそんぶさもこさ 菩薩様のこと。発心して仏道に入った者で、衆生済度を主とする利他行(りたぎょう)を行じながら、仏の位に向かって精進する者。
摩訶般若波羅蜜 もこほじゃほろみ 最上の優れた般若の智慧。佛母(ぶつも)(佛を生ずる母としての法)。諸佛を生じさせる母親のごとき存在であることを意味する。

“十仏”というのは、上記一覧表における⑥「大乘妙法蓮華経」を除いたものを意味し、宗派によっては、⑥を除いて唱えることもあるそうですが、曹洞宗では「十仏名」という呼称はそのままに、⑥も加え、十の佛と一の法で十一仏名という形でお唱えします。

また、“仏法僧の三宝を念じる”という点では、上の表の①~⑤が仏、⑥と⑪が法、➆~⑩が僧という分類になるかと思います。こうした仏法僧の御名を口に出してお唱えしていくと、次第に、身が引き締まり、心(意)が調っていくような気がします。これが「身口意の三業」を調えるということなのでしょう。

こうしたことを意識しながら、仏縁の場に臨んでいきたいものです。