「成仏への道―十重禁戒(じゅうじゅうきんかい)―」

次には、(まさ)十重禁戒(じゅうじゅうきんかい)を受け奉るべし

第一不殺生戒(ふせっしょうかい)。第二不偸盗戒(ふちゅうとうかい)。第三()邪淫戒(じゃいんかい)

第四不妄語戒(ふもうごかい)。第五不酤酒戒(ふこしゅかい)。第六不説(ふせっ)過戒(かかい)

第七不自賛(ふじさん)毀他戒(きたかい)。第八不慳法(ふけんほう)財戒(ざいかい)。第九不瞋恚戒(ふしんいかい)

第十不謗(ふぼう)三宝戒(さんぼうかい)なり

止悪(しあく)修善(しゅぜん)済度(さいど)」を自らに誓いながら日々を過ごす「三聚浄戒(さんじゅじょうかい)」―それは3つで「戒」という一つのみ教えを表すのでした。

そんな「三聚浄戒」を具体的に10個に分けて示されたのが「十重禁戒」です。下記の一覧表にその内容を提示させていただきました。

名  前

よみがな

意    味

不殺生戒

ふせっしょうかい

殺生をしない。あらゆるいのちを大切にし、その存在を殺さずに生かしていくこと。

不偸盗戒

ふちゅうとうかい

盗みを働かない。自らの欲望を制御していくこと。

不邪淫戒

ふじゃいんかい

貪らない。自らの欲望を制御していくこと。

不妄語戒

ふもうごかい

うそをつかない。
うそ・偽りの言葉を使わず、真実の言葉を使って会話をする。

不酤酒戒

ふこしゅかい

酒に酔うかのごとく、自分の能力などに酔わない。
自己陶酔せず、謙虚な姿勢で毎日を過ごす。

不説過戒

ふせっかかい

人の過ちを責め立てない。
相手の言動を肯定的に捉えるようにする。

不自賛毀他戒

ふじさんきたかい

自慢や他人の批判を慎む。
相手の言動を肯定的に捉えるようにする。

不慳法財戒

ふけんほうざいかい

人に何かを与えることを惜しまない。
みんなが喜ぶ言葉や行いをお互いにやり取りする。

不瞋恚戒

ふしんにかい

怒りの感情を露わにして、周囲に不快感を与えない。
笑顔と穏やかな言葉を心がけていく。

不謗三宝戒

ふぼうさんぼうかい

仏法僧の三宝を謗らずに、敬って帰依していく。

最後には三宝帰依の実践も説かれていますが、これは仏教徒たる者の基本姿勢として外すことはできません。

この10個の具体化された戒のみ教えはお互いに関連しあっています。ですから、一つを実践すれば、自ずと他の戒も実践していることになります。自分ができるものでいいのです。その選んだ戒の道をただひたすら歩んでいくならば、必ずや私たちの人間性が高まっていく―すなわち、成仏(仏に成る)のです。