普度会と向き合う −法要解説を通じて―

去る10月2日(日)、兼ねてよりご案内・準備を進めておりました「普度会」を無事につとめさせていただくことができました。当日、お参り下さった檀信徒の方々には改めて御礼申し上げます。

普度会が終わり、本来ならばすぐに法要のご報告をしたかったのですが、事後処理が必要な案件があったり、新たな仕事を引き受けることになったりと、予想外に忙しく過ごしておりました。HP等で事前の告知を大々的にしておきながら、終わってからの報告の場が皆無のまま今日まで来てしまいましたことをお詫び申し上げます。

少し落ち着いた今、普度会当日に檀信徒の方々に配布したパンフレットに記載させていただいた簡単な「法要解説」をここに提示させていただき、法要のご報告とさせていただきたいと思います。


午前の部

時 間

法  要  名

主な内容


10:00


普度会開基読経(ふどえかいきどきょう)

180年前、「天保の大飢饉」で苦しむ人々を救うため、私財を喜捨し、普度会を発願した能登屋又五郎氏(のとやまたごろうし)寶月霊松居士(ほうげつれいしょうこじ))をご供養させていただきます。

10:10

啓建歎佛(けいけんたんぶつ)

檀信徒の皆様の年回法要やご先祖様へのご供養です。

 

10:45

伝供読経(でんぐどっきょう)
(施主家回向)

11:00

尊宿諷経(そんしゅくふぎん)

高源院とのご縁が深い市内寺院のご住職様が尊宿(高源院先先代住職他や亡き僧侶方)をご供養するご法要です。

11:05

組合尊宿(くみあいそんしゅく)

普度会を今日まで受け継いでこられた金沢市内の尊宿(曹洞宗寺院の方丈様)へのご供養です。

11:15

尊宿追悼諷経(そんしゅくついとうふぎん)

平成28年・春期「普度会」以降にお亡くなりになった浅野川教区の方丈様をご供養させていただきます。

11:25

祈願法要(きがんほうよう)

ご参詣の皆様の健康、長寿、家内安全、子孫長久等をお祈りさせていただきます。

11:50

説教

大本山總持寺単頭・月心寺ご住職・勝田浩之老師のご法話です。

12:30

昼食

本堂にて昼食を準備させていただきます。

午後の部

時 間

法   要   名

主な内容

14:00

本尊上供(ほんぞんじょうぐ)

お釈迦様と両祖様(大本山永平寺を開かれた道元禅師様と大本山總持寺(横浜)を開かれた瑩山(けいざん)禅師様)へのご供養です。

14:10

両祖忌(りょうそき)

両祖様(道元禅師様・瑩山禅師様)へのご供養です。

14:20

伝供読経
(施主家回向)

檀信徒の皆様の年回法要やご先祖様へのご供養です。

14:35

無縁供養(むえんくよう)

野田山・誠光霊園(じょうこうれいえん)並びに野田山墓地、卯辰山墓地(うたつやまぼち)、各所に眠る有縁・無縁の一切の方々のご供養を通じて、無縁となりし人々とのご縁をつなぐご法要です。

14:40

満散大施食会(まんさんだいせじきえ)


生きている人、亡き人、小動物から虫類まですべての方への命ある存在に食を施し、ご供養させていただきます。  


14:55

放生会(ほうじょうえ)


魚鳥を自然に放ち、その生を全うさせる仏事です。




上記の冊子を読んでみると、普度会が僧俗問わず、亡き人も生きている人も一切分け隔てすることなく、全てのいのちに救いを施すことを目的に営まれていることに気づかされます。そこには天保の大飢饉に苦しみ、いのちを失っていった人々に思いを馳せ、供養を行った開祖・霊松居士の精神が180年たった今も、失われることなく受け継がれていることが感じられます。

そして、苦しみの時代の中で、精一杯、いただいたいのちを輝かした人物の思いが法要の随所に込められていることに気づかされます。一般に何をやっているのかわかりにくい法要ですが、ほんの一言でいいから、その場面に応じた解説を施すことで、儀式が持つ意味がわかり、ありがたみが増してくるのではないかという気がします。それを少しでも一般の方々にかみ砕いてわかりやすく伝えることを心がけると共に、普度会を日頃の自分を見つめなおす大切な仏縁と捉え、今後も精進してまいりたいと思っています。   合掌