「中道」に生きる 
―彼岸は此方(ここ)にあり―
 

六波羅蜜(ろっぱらみつ)」のみ教えに従って生きていくと、次第に自身の生き方が、彼岸の仏様の生き方に近づいていきます。

すると、あることに気づかされます。

それは、今までは彼岸と此岸を分け隔てている大きな川≠ェ存在していると思っていました。しかし、実は、そんな川など最初から存在ていなかったのです。川は何事も自分の好みや都合で一つの物事を「好・悪」や「良・悪」のごとく二分して捉えていたがゆえに、自分が勝手に作り出してした存在だったことに気づかされるのです。

彼岸はどこか遠くにあるのではありません。実は「彼岸は此方にあり」なのです。つまり、私たちの今生かされている此岸が彼岸なのです。そのことに此岸の住人の大半が気づいていません。そんな此岸をよいものにしていくかどうかは、私たちが彼岸のみ教えに従って一生を過ごしていくかどうかによって決まるのです。

どうぞ、「六波羅蜜」という、私たちの日常をよりよくしていく六つの生き方の中から一つでいいので、我が人生の指標としていただくことを願います。そういう生き方によって、少しでもよりよくなった自分の姿、仏様のお悟りに近づくことができた自分の姿をご先祖様にお届けしていくことが、何よりもの先祖供養になるのです。
         【おわり】