四諦八正道(したいはっしょうどう)@ 
―お釈迦様の“最初の説法”に学ぶこと―」
 

日本に目を向ければ、東京オリンピックの開催。我が石川県に目を向ければ、北陸新幹線の開業5周年、国立工芸館の開館、金沢港クルーズターミナルの開港など、2020年は楽しいことが満載、明るい一年になるだろうと期待をしていました。期待の背景には、毎年、何かと暗い話題が多いと感じていたからです。

しかし、そんな期待は「新型コロナウイルス」によって、一変してしまいました。北陸新幹線開業5周年記念イベントの自粛・中止に始まり、国立工芸館も金沢港クルーズターミナルもスタートが延期、果ては東京オリンピックまでもが前例なき1年間の延期という事態にまでなりました。こうした事態を見るに、私たちの生かされている娑婆世界では、毎日明るい話題ばかりということはあり得ず、むしろ、暗い話題や苦しい出来事の方が多いのが、娑婆世界の特徴であることに気づかされます。

そんな娑婆世界の中で、積極的に生きる道を示してくださっているのが仏教の開祖・お釈迦様です。今から約2600年前(紀元前5世紀・弥生時代)にインドの国に実在していらっしゃったお釈迦様は、35歳の12月8日の明け方に坐禅をしながら、悟りを得たと伝えられています。それが「仏教」の歴史の始まりです。お釈迦様のお悟りとは「自分が周囲の様々ないのちとつながっていることに気づく」ということでした。

悟りを得たお釈迦様は鹿野苑(ろくやおん)という地域に移動し、ご自分のお悟りについお話になりました。そんなお釈迦様の処女説法が「四諦八正道」です。(下記一覧表参照)

この世は苦しみの世界である
じゅう 苦しみには原因がある
めつ 苦しみは滅していくのがよい
どう 苦しみを滅する方法がある(八正道)

ここにもありますように、まずは、私たちが自分たちの生活領域が苦しみの世界であることをしっかりと押さえることが大切です。いくら楽しそうな話題が満載であろうが、毎日がただ楽しく、何もすることもなく気楽であるなどということはあり得ないのです。そして、その苦しみを生み出す原因があるというのです。「因果の道理」と言って、何事も原因があって結果があります。今の状況は過去の行いが原因によって引き起こされた結果です。それについては、次回、もう少し具体的に考えてみたいと思います。                              【第2回へ】