第17回 「
伏して願くは、
仏弟子となった故人様は
現代のような遺体を火葬する習慣がなかった頃というのは、
そうした棺の歴史は釈尊の時代まで遡ることができます。経典には、何重もの布で包まれた釈尊のご遺体が、香り高い油や
それが時代を経て、棺の使用が一般化してくるわけですが、いずれにしても棺にご遺体を安置することは、故人様を丁重にお送りするための大切な行いだといえるでしょう。まさに仏のみ教えに従った善行なのです。何も高級な棺を使えばいいということではありません。棺のランクに捉われず、棺にご遺体を安置して読経すること自体が大切なご供養だということを押さえておきたいものです。「上来、諷経する功徳は、新帰元(戒名)に回向す」とあるのは、「これまで諷経してきた功徳は、故人様に巡らされていく」ということです。次の「入棺の次で、報地を荘厳せんことを。」には、「入棺という、仏のみ教えに従った善き行いの結果として、故人様が仏の世界に到達できるように」という願いが込められています。すなわち、故人様の成仏を願うと共に、ご遺族も仏に近づく機縁として、入棺の場に身を置くことが求められるのです。
尚、一般的には、お通夜の前にご遺体を棺に入れる(