「仏の慧命を嗣続する」 

お寺の長い歴史の中で、どこかの年代で伽藍修繕・復興のご縁をいただく方丈様や檀信徒がいらっしゃいます。その仏縁に巡りあっや年代の方々にとっては、伽藍復興は一大事業ではありますが、そうした方々のお力添えのお陰様で、お寺の歴史が次世代につながると共に、仏のいのちが生かされていくのです。それが「仏の慧命を嗣続する」ということです。

仏というのは、仏教の開祖であるお釈迦様のことです。お釈迦様は今から約2600年前の12月8日、35歳のとき、坐禅を通じて悟りを得た方です。それが仏教の始まりで、そのお悟りやみ教えが、そっくりそのまま中国や日本に伝わりました。それを「相承」とか、「単伝」という言葉で言い表します。

曹洞宗の場合、鎌倉時代に福井県の永平寺をお開きになった道元様が中国に渡ってご修行なさって、曹洞宗のみ教えをもたらされました。これが日本における曹洞宗の起こりです。それを全国に広める礎をお作りになったのが、瑩山様で、總持寺はじめ多くのお寺を建立なさいました。そうした道元様や瑩山様のごとく、お釈迦様のみ教えに従いながら、言葉や行いを調えて過ごすことによって、仏のいのちが生かされていきます。それが「仏の慧命を嗣続する」ということなのです。慧は「悟り」を表します。悟りのいのち、仏のいのちということです


次回は「仏の慧命を嗣続する」ということについて、「不殺生」の観点から考えてみたいと思います。【第3回へ】