第9回 「帰依のかたち―合掌低頭(がっしょうていず)-」


合掌(がっしょう)低頭(ていず)して


「日常生活の中で、仏法僧の三宝に帰依したら、抱えていた苦悩から救われたという実感を得た。」―こんなとき、三宝への感謝の念が芽生えてきます。こうした感謝の念によって、自然と三宝に手を合わせ、頭が下がってきます。それが「帰依のかたち」―すなわち「合掌低頭(がっしょうていず)」です。

お寺で生活をする中で、幾度となく合掌低頭をする場面があります。曹洞宗石川県青年会では、毎年、夏休みに小学生を対象に「子ども禅のつどい」を行わせていただきますが、子どもたちに‟仏さまの前を通る時は、一度、仏さまの方を向いて、合掌低頭しましょう”と教えます。すると、子どもたちは、仏さまの前で合掌低頭を欠かさずに行なっています。

こうした仏さまの前で合掌低頭をするというのは、まさに我々仏教徒の「帰依のかたち」です。すなわち、仏法僧の三宝を拠り所とし、その功徳(お力)で毎日を心安らかに過ごせることに対する感謝の念から生ずる姿です。最初は自分の意志ではなく、他から言われて行なっていたことでも、三宝とのご縁が深まっていく中で、「帰依のかたち」が自然と身についていくのですから不思議なものです。

それからお寺の法要に参加されたことがある方はおわかりかと思いますが、法要の前後、僧侶は“坐具(ざぐ)”という布を敷いて、三度礼拝を行ないます。これを「三拝(さんぱい)」と申します。三度の礼拝にはそれぞれ意味があります。1回目は仏に対して、2回目は法に対して、3回目は僧に対して、それぞれ感謝の念を表した「帰依のかたち」なのです。

合掌低頭という「帰依のかたち」に込められた思い―それは浄信から生み出された清らかな感謝の念なのです。
がここに入ります


三拝