第25回「浄土へ①-“大宝楼閣善住秘密根本陀羅尼(だいほうろうかくぜんじゅうひみつこんぽんだらに)”が説くもの-

曩莫(のうまく)薩嚩怛他孽多南(さらばたたーぎゃたなん)(おん)尾補攞(びほら)孽羅陛(ぎゃらべい)麼抳鉢囉陛(まにはらべい)
怛佗多儞捺捨寧
(たたたにたしゃに)
麼抳麼抳(まにまに)蘇鉢囉陛(そはらべい)尾麼黎娑孽囉(びばれいしゃぎゃら)儼鼻(げんび)レイ
(※1)
吽吽入嚩囉(うんぬんじんばら)入嚩囉(じんばら)没駄(ぼだ)尾廬枳帝(びろきてい)()
(※2)()地瑟恥多孽囉陛(ちしゅったぎゃらべい)
娑嚩訶
(そはか)
唵麼抳嚩日哩吽(おんまにばじれいうん)唵麼抳駄哩(おんまにだれい)吽泮(うんばっ)
(※3)

(※1)レイは「口」に「隷」
(※2)ギは「口」に「四」
(※3)タは「口」に「乇」

甘露門(かんろもん)」は、江戸期の名僧・面山瑞方(めんざんずいほう)禅師(1683-1769)によって記された経典で、お盆やお彼岸において、「施食会(せじきえ)」のご法要が営まれる際に読誦されます。

その「甘露門」の一節に登場するのが、今回提示させていただいた「大宝楼閣善住秘密根本陀羅尼」です。「大宝楼閣」とは、「高い建物」を意味しています。すなわち、仏のお悟りの世界ということです。「秘密」とあるのは、「内緒」ということではなく、「深遠なるみ教え」ということです。また、「根本」は「起源」のことです。そして、「陀羅尼」というのは、「悪を断ち、善を修する働き」という意味を持つ、咒文(呪文)のような形態の経文のことです。いずれも仏のみ教えと関連する言葉ばかりです。

俗世間に生かされてきた故人様が、仏様とのご縁をいただき、出家して、仏の戒法をいただくことよって、御仏のお弟子様となられました。そんな故人様が俗世間での様々なご縁を断ち、いよいよ、ご遺族様方との別れのときがやって来ました。そんな場面において、故人様が仏の世界である「大宝楼閣」にまっすぐに進んでいけることを願って、三度に渡り「大宝楼閣~」をお唱えします。

そして、その後、「鼓鈸三通(くはつさんつう)」へと入って行きます。ここでは、手磬(しゅけい)(ハンドサイズの小型の鐘)・太鼓・鐃鈸(にょうはつ)(シンバルのような形をした鳴らしもの)を「チン・ドン・ジャラン」と鳴らします。「鼓鈸三通」については、次回、触れてみたいと思います。