第1回 永光寺開創に見る「布施」行 |
高源院のご本寺は 「洞谷忌」には、海野夫妻が、この永光寺がそびえ立つ山林一帯をご寄進なさったときに発せられたお言葉が遺されています。 ●「私たちはただ、ほんの一時期でもいいから、この山に住まいをしていただくことだけを望みます。」 ●「瑩山様が山を出て、荒れ地になろうが、別の者に差し上げようが、構いません。」 ●「瑩山様が仏道修行を止め、道から外れるようなことをなさっても構いません。」 一度、瑩山禅師様に差し上げた地なのだから、自分たちは、その後のことには一切、口出しをしないし、再び自分たちのものにしようとも思わないということを発せられた海野夫妻。こうした夫妻の思いに感銘を受けた瑩山禅師様は、この山林を自らの終焉の地とし、生涯に渡る安楽の地、仏道修行の場とすることお誓いになりました。 こうした施者と受者の清浄なるやり取りによって、永光寺は誕生しました。このやり取りこそ、永平寺開祖・道元禅師様がお示しになっている「布施」の行いそのものです。次回は「布施」について、道元禅師様のみ教えに触れながら、参究してまいりたいと思います。 【第2回へ】 |