第13回「
次には
第一不殺生戒
第九不瞋恚戒
仏戒が指し示す善悪というのは、仏の基準から外れた言動を「悪」とし、仏の基準に沿ったものを「善」とします。悪を断ち(
「十重禁戒」についても、これまで「修証義第3章・受戒入位」及び「教授戒文」でも触れてまいりましたので、ここでは簡単に、下記の一覧表を参照しながら、確認するだけにとどめておきたいと思います。今一度、自らの日常に反映させていく機縁になることを願います。
不殺生戒 | ふせっしょうかい | 周囲のあらゆるいのちを殺さずに生かすこと。仏の どんな存在も大切に関わり、自分の視点のみで差別的な関わりをしない。 |
不偸盗戒 | ふちゅうとうかい | 他者のモノに手を出さない。どんなモノも自分と一体化させて、丁寧に扱う。 |
不貪淫戒 | ふとんいんかい | 貪らない。必要以上に求めない。 |
不妄語戒 | ふもうごかい | 真実の言葉・仏の言葉を心がけて会話を行う。 |
不酤酒戒 | ふこしゅかい | |
不説過戒 | ふせっかかい | 相手の過失を責めない。相手に恐怖や不安を与えるような言動を慎む。 |
不自讃毀佗戒 | ふじさんきたかい | 周囲と我が身を一体化させ、自慢や相手への批判を慎むように留意する。 |
不慳法財戒 | ふけんほうざいかい | 物惜しみすることなく、相手が苦悩から救われ、仏のお悟りに近づけるようなものを提示していくこと。 |
不瞋恚戒 | ふしんにかい | 怒りを始めとする周囲に不安などをもたらすような言動に留意し、自分の感情を調整していくこと。 |
不謗三宝戒 | ふぼうさんぼうかい | 自らの意思で仏法僧の三宝に帰依すること。 |
故人様のみならず、我々遺族も故人様との別れを通じて、こうした「十重禁戒」のみ教えに触れながら、自分のできる範囲内から我が身心を調えることを意識し、少しでも仏の生き様に近づくことを願って、継続的に取り組んでいきたいものです。
曹洞宗では2015年に国連サミットで採択された「SDGs」(持続可能な開発目標)が掲げる17の目標と仏教のみ教えが説くものが同じであるとの認識から、その推進を訴えています。我々一人一人の日常的な実践が積み重なって、世界的視野での争いや差別の問題の解消、平和の実現に向けての動きが実現していくような気がします。曹洞宗の取り組みも踏まえながら、「持続可能」という言葉を重視し、できる範囲で確実に継続することを念頭に置きながら、仏道を歩んでいきたいものです。