第18回 「坐禅の条件 その6 目の置き所」


舌上(したうえ)(あぎと)に掛けて
唇歯相着(しんしあいつ)け、目は(すべか)らく常に開くべし


姿勢が調ったら(正身端坐できたら)、できるだけ自然な呼吸を心がけるべく、口の中に空気が溜まらないようにします。「舌上(したうえ)(あぎと)に掛けて、唇歯相着(しんしあいつ)け」ということですから、舌をできるだけ動かさず、唇を閉じ、歯をくっつけるということです。こうして呼吸が調い、身心共々に坐禅に集中することができます。

次に目ですが、よく「坐禅中に目を閉じるのか?」という質問をいただきます。その答えは「NO」です。「目は(すべからく)らく常に開くべし」とあることからもわかりますが、坐禅中には目は開いています。

では、なぜ「目を閉じるのか?」という疑問が涌いてくるのでしょうか―。それは坐禅をしている人を見ると、目を閉じているように見えるときがあるからです。

なぜ、そう見えるのでしょうか?その原因は、坐禅中の目の置き所にあります。目線をキョロキョロさせているようでは坐禅に集中できません。そこで、目線は「斜め下45°くらい」が適度であるに下ろすと指導させていただきます。そうなると、若干、下方に目線を置くわけですから、目は自然と半眼になっていきます。周りから見れば、目を閉じているように見えるのです。いたって当人は目を開けているのです。

正身端坐(しょうしんたんざ)という姿勢を維持するためには、呼吸や目線にも気を配り、作法に従っていくことが大切になってくるのです。