かけがえのない地球に(2)

天変地異

クライブ・カッスラーの海洋大冒険小説(中山義之 訳)は、いつ読んでも飽きることがありません。
彼はアトランティス(地殻変動により海中に没したと言われる大陸)を主題にした小説の中で、地球の歴史上の主な出来事として以下のような項目をあげています。

直近(宇宙、地球の歴史からすれば、数千年は直近と言えます)の出来事
(1)1億年毎に巨大隕石又は彗星(主に氷)が地球に激突
(2)6500万年前、直径10kmの隕石がユカタン半島沖の海中に落下。この影響による地球環境の激変により恐竜が瞬時絶滅。
(3)9000年前、直径16kmの物体がカナダのハドソン湾に落下。地球上の全生物の99%が絶滅。
(4)1908年、シベリアで隕石が落下前に爆発。

天体から巨大物質が落下することにより生じる地球上の異変
(1)マグマ、水蒸気、塵が大気圏丈夫まで散乱
(2)森林火災、硫黄・窒素・フッ素化合物の発生
(3)オゾンそうの破壊
(4)ハリケーン級の強風が一年以上地球上を吹き荒れる
(5)食物連鎖の崩壊
(6)11〜13kmの高さの波が各地を襲う
(7)フロリダ水没、世界中能島が殆ど水没、大陸は数百キロ内部まで水没
(8)巨大地震発生、各地の火山爆発
(9)地殻変動、大陸の移動
(10)北極、南極の移動と氷山の溶解による海面の上昇120m
                  「アトランティスを発見せよ(下)」 クライブ・カッスラー  新潮社 より

「かけがいのない地球に」でお伝えした地球の歴史を思い出してください。今から6500万年の出来事を。
「恐竜時代終わる」と有ります。
クライブ・カッスラーは6500万年前、直径10kmの隕石がユカタン半島沖に落下したことにより恐竜や多くの動物がほぼ瞬間的に絶滅したと考えているようです。

数百年前に起こった地上の生物を一掃するような一瞬の出来事、それに相当するようなスケールの環境破壊を人類(人間以外にこのような事をする生物はいません)はいま、着々と進めているのです。一人一人は、そのような破壊に加担しているという意識がないままに。
経済合理性という名のもとに、より贅沢な生活を求めて。

恐ろしいことは環境破壊が現在どのレベルにあるか、環境破壊に寄与する数々の要素を考慮した時現在のレベルが回復可能なレベルに達しているか否か、さらに環境レベルを回復する手段・手法はあるかないか明確でないことです。色々な思惑も重なり、政治、宗教、民族、企業そして組織、個人それぞれが知らせたくないし、知ろうとしないし、知りたくもないというご都合主義もあるのです。

ほぼ確実に起こるであろうと想定されている東海沖、東南海沖、南海沖大地震。
それよりも確実なデーターに基づいて、環境破壊が臨界点を既に超えていることが明確になった時、人類はどのように行動するのでしょうか。数十年間にわたる絶滅までの想像を絶する生活。それよりも6500万年前に起きた巨大隕石の衝突による一瞬の出来事の方が、はるかに、楽なのではないでしょうか。

唯一の救いは、人類の起源がこの世に現れたのは、恐竜を含む地球上の生物がほぼ全滅した大事件のはるか後の数万年前と言うことです。今世紀中に環境破壊とその影響が顕在化し、ほぼすべての生物が滅亡することが確実になったとしても、僅か数千万年もすれば緑の地球が再び復活しているでしょうから。

遅きに失しているかも知れませんが、人間の英知を集結して壊滅的な瞬間を回避する努力もなされています。次回はそのような試み、考え方を紹介し、我々個人として出来ることを考えてみたいと思います。