八大人覚(はちだいにんがく)」とは ―道元禅師様の見解に学ぶ―

2月に入りますと、我が曹洞宗ではお釈迦様のご命日(2月15日)までの間、夕べのおつとめの折に「仏遺教経」(お釈迦様がお亡くなりになる直前にお弟子様方にお示しになった最期のみ教え)を読んで、お釈迦様のご供養をさせていただく習慣があります。

仏遺教経の核となるのが「八大人覚」です。これは仏弟子たるものが死守すべき8つの徳目です。この「八大人覚」について、曹洞宗の開祖・道元禅師様も重視され、自著「正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)」・第95巻(最終巻)において、触れていらっしゃいます。ここでの道元禅師様の見解を下記の一覧表にまとめてみました。
正法時 釈尊在世〜
滅後500年
紀元前5世紀
紀元前1世紀
弥生時代 八大人覚の修学・実践あり
像法時 釈尊滅後500年〜1000年 1世紀〜
5世紀
弥生時代〜
古墳時代
末法時 釈尊滅後1000年以降 6世紀以降 古墳時代以降 八大人覚の修学・実践なし
道元禅師様の見解に従うならば、仏遺教経を読んで、八大人覚に触れることは、末法時代を生かされている私たちにとって、八大人覚のみ教えを学び、日常生活の中で実践していく場であると共に、仏弟子としての自覚を新たにしていく機会にもなるということです。

道元禅師様が八大人覚をお示しになったのは最晩年で、まさに病のお身体での最期のご説法であったことがお弟子様である弧雲懐弉(こうんえじょう)禅師様より伝えられています。
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※八大人覚について、詳しくはこちらをご覧下さい