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魚のあら処理前 魚のあら処理後
残飯処理前 残飯処理後
刈り芝処理前 刈り芝処理後
コンポストタイプとは、投入した生ゴミを発酵堆肥化して、取り出すタイプのことで、消滅タイプとは、生ゴミを水と二酸化炭素に分解して消滅させようとするタイプです。コンポストタイプは毎日投入量に応じて処理物が発生しますので、ゴミ問題の教育には打ってつけで、学校などで好まれているようです。発酵菌は生ゴミとともに投入するタイプと、何も投入せずゴミに付いた菌を用いるタイプがあります。消滅タイプは、装置内に菌床を投入しておき、菌床の菌により生ゴミを水と二酸化炭素に分解して、ほとんど消滅させるタイプです。装置の原理上、消滅タイプの方がコンポストタイプより菌床がある分大型となります。
いずれも好気性の発酵菌が活動しやすい環境を人工的に作り出し、発酵を促進させるのが装置の原理です。
コンポストタイプは、1/8〜1/20 の減容(容積が減ること)率ですが、生ゴミの水分量が90〜95%であることを考えると、減ったのは水分だけともいえます。このため、メーカーによっては単に乾燥させるだけの生ゴミ処理機を販売している訳です(減容率は乾燥だけとコンポストタイプとは差がない) 。一般家庭で考えた場合には、家庭菜園などの趣味がある人はコンポストタイプ。なるだけ手間のいらないものを、と考えているのなら消滅タイプが良いと思います。
コンポストタイプなどで24時間発酵とか、ひどいものは5時間発酵とか謳っていますが、本当にそんな短時間で発酵するのでしょうか。
ずばり、発酵はします。しかし、発酵は完了していません。学術的には、数時間では単に発酵が開始したくらいのレベルであり、完了することはあり得ないとのことです(定説では・・・)。試しにコンポストタイプで処理したものに水分をたっぷり含ませて放置してみて下さい。悪臭を発するとともに虫がたかってくるはずです。また、できあがった処理物をそのまま花や野菜に振りかけて下さい。ほとんどの作物は枯れてしまうはずです。コンポストタイプでの生成物は、巷で販売されている野菜の有機肥料と同じで、根っこに直接触れないように土の中に埋めるようにして使用しなくてはいけません。これは、発酵が十分進んでいないため、作物に悪い影響を与える菌もまだ中に生きているからだとも言われております。発酵が進行し、完熟堆肥になった頃には、このような悪玉菌も死滅し、作物にとって最高の土となっているものです。
良心的な企業では、発酵処理を行った後、しばらく二次発酵させ、完熟堆肥になってから畑に使用するように指導しています。
消滅タイプでは、本当に生ゴミは消滅するのでしょうか?それは誰にも分かりません。ただ、目で見た限りでは生ゴミらしきものは無くなります。というのも、消滅タイプではおがくずのような菌床をあらかじめ投入してあります。このおがくずの中に発酵後の生ゴミが入っていても肉眼では区別が付きません。ただ言えることは、生ゴミを連続して投入しても菌床の重量があまり増えないので、消滅タイプの方がコンポストタイプより減容率は大きいということです。しかし、これだけを考えて消滅タイプを選択するのは間違いです。消滅タイプには、菌床の寿命といった避けがたい欠点があるのです。半年から1年で菌床は発酵菌の働きで分解され、その機能が満足できなくなります。その時点で菌床は入れ替えとなりますが、菌床の量は、処理可能生ゴミ量の数倍であることが常ですので、入れ替え時には大量の使用済み菌床が発生することとなります。一説によると排出物の総量で考えればコンポストタイプも消滅タイプも大差はないとのことです。(実データ無いため、検証はされていません)
こう考えると、毎日こつこつ処理するのならコンポストタイプ、半年や1年に一度ごっそり処理するのなら消滅タイプという事になります。
菌はどの菌がどれで、その菌だけ分離して、などといった芸当は、ほとんどの発酵菌は不可能です。結局はどこそこに生息している菌群とこっちの菌群を混ぜ合わせて・・・などといったレベルになります。しかも人体に影響を与えないと言う条件付きなので、ほとんどの場合土壌菌(土の中に生息している菌)が主になります。このため、菌は特に投入する必要が無いとも言えますが、装置稼動初期にはまだ菌が十分装置内に繁殖していませんので、装置の運転開始時には菌の投入が必要かと思われます。しかし後は菌の投入は必要ないはずです。すなわち、機械の中のコンデションさえしっかりしていれば菌の投入そのものも必要ないと考えられます。ただし、発酵中の臭気除去の目的であれば十分効果が期待できます。特に生ゴミ中の窒素分の分解の過程で発生するアンモニアなどの分解には効果があるそうです。
EM菌は好気性と嫌気性の両方の菌の混合のため、ひょっとして上記考察は当てはまらないかもしれませんが、一般的な高速発酵処理機に使用されている好気性発酵菌群の場合には、処理後の製品を投入生ゴミに混ぜるだけで十分と考えられ、菌体の販売はメーカーの策略ではないかとかんぐりたくもなります。
答え、有機肥料として有効です。ただし、肥料として販売(一般的な店で、有機肥料という名目での販売)するためには、成分が常に安定する必要がありますので、生ゴミ処理生成物では難しいと思います。しかし有機肥料として販売できなくとも、十分肥料として使用は可能です(肥料という名目でなければ販売できますし、購入者が欲しいと言えば売ることもできます)。実際に土の間にコンポストを挟むと、作物は大きく育ちます。ただし、単なる有機肥料と考えるべきで、それ以上の効果は実証されていません。作物が強くなるとかも言われますが、もしそうだったらラッキーぐらいに考えるべきです。一部で生ゴミの発酵処理物を肥料として使うとすばらしい効果があると宣伝していますが、現在までに科学的に実証されたものはありません。
いろんな使われ方がありますが、一番多いのは処理物をゴミとして捨てるケースのようです。一部では農家や家庭菜園の肥料として販売したり、無料配布したりしていますが、どうしても需要と供給の関係が崩れてしまうようで、理想的な使われ方をしているのはほんの一部にすぎません。企業などでは、ゴミの量が減るだけで目的を達成できるのでしょうが・・・。また、ゴミの種類が安定しているところは、有機肥料原料として肥料屋に販売しているようです。都会の一般家庭では、用途が限られていますので、結局は捨てることになりそうですが、今後ますます深刻化するゴミ問題の解決のため、広く普及することを希望する次第です(かく言う我が家でも、妻の理解が無く生ゴミ処理機の購入はいまだ叶っておりません)。
1998年1月に開催された「第2回生ゴミリサイクル全国交流集会」にて、東京農業大学の後藤逸夫教授から生ゴミ堆肥の品質と肥料効果についての研究報告がありました。この中で堆肥中の炭素率による影響が指摘されています。いくつかの生ゴミ堆肥の化学組成を調べたところ、水分調整材にもみ殻やおがくずを私用していたものは、高い炭素率を示し、熱で水分を減らしたものは炭素率が低いとのことです。そして、炭素率が多いほど作物の生育が良くないとのことです。生ゴミの原料の組成の影響もあるでしょうが、全般的に水分調整材の入れてないものは肥料効果が見られ、水分調整材を大量に加えているものは生育も悪く、土壌に窒素の有機化が生じるとのことです。小生はここら辺はあまり理解していないので、この件の質問はご遠慮下さい。なお、このニュースソースは(株)日報が発行している2月16日付けの「廃棄物新聞」です。(株)日報はホームページ(www.nippo.co.jp)も持っていますので、こちらに問い合わせても良いと思います。
よく聞かれるのが、ある時突然悪臭が強くなったとか、発酵がうまく行われなくなったとか言うことです。生ゴミの発酵はあくまで微生物が行っているため、装置内の環境が微生物の活動に好ましくない状態になると問題が発生します。多くの場合には投入生ゴミがいつもと違い、水分過多であったり、ゴミの中に微生物の活動を阻害する金属などが混入したりといったケースが多いようです。投入する生ゴミを常に監視し、装置内のコンデションを一定にしておけば、発酵不良の問題は発生しないはずです。しかし、実際に生ゴミ処理機を管理する場合、このような細かな管理が出来ないし、する気にもならないのが実状です。何も考えず生ゴミをぽいぽい投入できるのが理想ですが、今の機械はまだまだそこまで至っていません。現状の技術で楽して生ゴミ処理しようと思えば、菌床使用タイプか連続投入(複数槽自動搬送)タイプを選び、必要な処理量よりオーバースペックの処理能力を持った機械を購入するしか手はありません。こうすれば、多少の投入生ゴミ量や生ゴミ品質の変化も装置のキャパシティ内で収まり問題は発生しないでしょう。
もう一つ、ぽちぽち聞く例として、撹拌翼が朽ちて折れてしまうという問題があります。魚のあらなどの臓物系生ゴミを処理するところで発生するそうです。一度このクレームを経験したところは何らかの対策を講じているようですが、経験のないメーカーだと朽ち落ちてしまう危険性があります。
消滅タイプでは、菌床の寿命といった欠点があることを記載しましたが、最近はセラミック製の菌床が開発され、いくつかのメーカーが採用しています。小生は現物の実運転状態を見ていないので、伝え聞いた話となりますが、うまく動いているとのことです。この件については、メールも1通いただいております。菌床の劣化の少ない消滅タイプは、一般家庭での使用なら理想的ですね。実際にどれくらい持つものなのか、使用感を聞かせていただければこのページに載せますので、よろしくお願いします。
もう一つ、コンポスト化ではなく生ゴミを炭化する機械も結構出回ってきました。コンポストだと機械での発酵処理後、しばらく寝かせて完熟発酵させないと、畑にまけません。このため、2次発酵スペースが必要となります。しかし、炭化してしまえば土壌改良材としてそのまままけます。後処理がずっと楽になるのです。もっともこのタイプは装置が大型になるため、一般家庭向けではありませんが・・・。(1999.06.06)
近年の生ゴミ処理機の普及により、最近にわかに話題となっているのが、有機肥料の過剰供給についてです。都市ゴミの30%が生ゴミな訳ですから、それらをコンポスト化するとどれくらいの有機肥料が生成されるかは単純に計算されます。そうすると、例えその内の何割かだけがコンポストとしたとしても、かなりの有機肥料ができることとなります。現実的には肥料成分の調整が必要な場合が多いので、コンポストだけで肥料は賄えませんので、さらに使用量は少なくなります。結果として現在発生している生ゴミを全てコンポストにしても肥料としての用途は限られると言うことです。そんなこと実際に有機肥料が過剰になってから考えればいいとも思いますが、将来的には重要な問題ではあります。現在いくつかの企業ではこの対策として、成分が安定している食品工場から発生する生ゴミを肥料でなく飼料として処理することを検討しています。もっとも家庭ゴミは飼料かは難しいと思いますが。。。(2001.01.20)