2019.05.20

最近の研究・開発活動

補助ガス射出成形


 高圧ガスを用いた射出成形法として,射出中空成形法,射出圧空成形法,射出発泡成形法がある.射出中空成形は成形品内部に中空部を導入し,変形を抑え且つ軽量化が可能な方法である.射出圧空成形は,従来の樹脂保圧に変えて高圧ガスを用いた成形法である.高圧ガスを用いることで,従来の樹脂保圧分の樹脂量や成形品内部の密度差を低減し,軽量且つ変形の少ない成形品を得ることが可能である.更に,成形品の表面性状をも向上可能である.

 この成形法は化学的発泡剤並びに物理的発泡剤による発泡成形と組み合わせることで,スキン層の生成が任意に賦与可能となる技術である.

 これらの技術において,金型のシ−ル性が重要なポイントとなるが,我々の研究グル−プを首謀する鈴木氏が新しいシ−ル法を開発し,これらの技術の普及を図っている.



各種射出成形法

電線被覆発泡


IPF2018において,(株)三葉製作所が展示した超臨界発泡押出電線被覆システムを紹介する.この装置の発泡剤導入システムは,左図のN-MCPと同じ概念である.つまり,発泡剤導入システムは,スクリュ−が存在するシリンダ−内部でなく,下図に示すように,圧力変動や温度変動が少ない円筒部に微細な空孔を有する多孔質体を介して導入し,拡散現象によってのみ含浸して安定なガス/ポリマ−溶融体を実現可能としたものである.

 本押出発泡成形システムは,(株)三葉製作所と(株)SMSの共同出願で,平成28年度の経済産業省のサポイン補助金を得て開発中のものである.現在,発泡剤供給システムを提供している(株)タクミナ並びに素材メ−カ−の協力を得て進行中である.
超臨界発泡押出電線被覆装置


発泡剤導入システム

N-MCP


 IPF2018において,東洋機械金属(株)が実演展示したN-MCP技術を紹介する.この技術は,従来の発泡成形システムと異なり,ノズルから発泡剤を拡散によって導入する技術である.この技術は,従来のシリンダ−から発泡剤を導入する技術と異なり,スクリュ−による圧力並びに温度変動が少なく,バッチ式発泡成形を実現できるように,連続式発泡成形システムとして開発したものである.圧力並びに温度変動の少ない,ノズル部から発泡剤を導入することで,拡散のみによって,均質核生成を実現できるものである.発泡剤の導入は,より微細な気泡を得るように,微細孔を有する多孔質体を通して行う事をも特徴としている.また,この発泡成形システムは,既存の射出成形機のノズル部だけを取り換えることで,容易に実現できることをも特徴としている.

 現在,この技術の普及に関して,東洋機械金属(株)並びに発泡剤供給システムを提供している(株)タクミナと共に,更なる研究・開発を行っている.



N-MCP成形システム


多孔質体を介したガス導入方法による飽和時間








 これらの技術に関してご興味のある方は,ご連絡ください.