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■「猿ヶ堂」の話
 むかし、甚兵衛という炭焼きの夫婦がいました。ある時、山で泣いている子猿を拾って帰り、自分の子供のように可愛がっていました。一年、二年とたつうちに猿はすっかり利口になって、人の言葉もわかり、炊事の手伝いもするようになりました。
 ある日、甚兵衛は猿に留守を頼んで山に出かけました。猿は赤ん坊と遊んでいましたが、そのうち赤ん坊は火のついたように泣き出しました。すっかり困ってしまった猿は、お湯を使わせると喜ぶことを思い出し、湯をわかし、タライに赤ん坊を入れたところが、お湯かげんを知らなかったため、やけどをさせて死なせてしまいました。
 山から帰った夫婦はこれを見て腰をぬかさんばかりに驚き、カンカンに怒ってナタを振り上げました。やっと自分のしたことが分かった猿は目に涙を浮かべて見上げています。甚兵衛はさすがに、猿を殺すこともできずに追い出すのが精一杯でした。
 山に帰った猿は日がたつにつれてボス猿となり、畑を荒し旅人を困らせるなどいたずらばかりしました。そこで、殿様にお願いして、戸田影切という剣豪に猿を退治してもらうことになりました。影切は「お前は人に育てられた恩も忘れて悪事をするとは何事だ。お前を退治に来たが、悪い事をしたと思って、いさぎよく殺されるなら、その心に免じて祠に祭ってやるから、早くおりてこい」というと、猿は甚兵衛夫婦に可愛がられたことを思い出し、今までの悪事を悔いて、木から降りてきました。
 この素直な猿を見た影切は、可愛そうになりましたが、その首を討って帰り、ありのままを殿様に報告し、約束どおり小さな祠を建てたのが、猿ヶ堂であるといわれています。