今月の法話

演   題 菩薩として生きる
引用経典 正法眼蔵 菩提薩埵四摂法(しょうぼうげんぞう ぼだいさったししょうぼう)
実演会場 金沢市・S寺様「普度会法要」(令和4年10月)
概要・ねらい 江戸時代後期(1830年代半ば)、「天保の大飢饉」で飢えや病に苦しみ、亡くなっていった方々を目の当たりにした当時の金沢市内の有力商人である通称・能登屋又五郎(のとやまたごろう)氏(宝月霊松居士(ほうげつれいしょうこじ))―自らも飢饉の影響で身心共々に苦しみながらも、ご縁のある曹洞宗寺院の住職に声をかけ、亡くなった方々のご供養を行ったのが、「普度会(ふどえ)」の始まりです。「(あまね)く(皆)」を「度(助け合い、支え合う)」「会(法要)」というのが普度会の意味するところであり、目指すべき目標です。

記録によれば、普度会は天保期以降、第2次世界大戦中に2年程度の休止期間があった以外には、休むことなく今日まで続けられてきたとのこと。まさに金沢の地に根付いた伝統的な法会といっても過言ではありません。

そんな普度会が令和2年から始まるコロナ禍の影響によって2年間の休止を経て、令和4年より再開。感染症対策ゆえに、コロナ禍前のような長時間の法要や檀信徒の皆様が本堂に一堂に会して食事をすることは難しく、縮小再開ではありますが、私たちが仏法と触れ合い、自らの人間性を高め、よりよい日常生活を目指す大切な機会として、時代に相応しい形・持続可能な形で継続していくことを、今は願うばかりです。
テーマについて 「周囲との関わり方を考える」 ―言葉の発し方・行動の提示の仕方―

そんな普度会において、日頃、周囲の様々ないのちと関わり合いながら生かされている私たちが、どのような関わり方をしていけば一人一人が成長し、皆が幸せになるのか?―それを考えるべく、道元禅師様の「正法眼蔵 菩提薩埵四摂法」のみ教えを味わってまいります。

周囲との関わりの基本は「助け合い・支え合い」です。まさに「普度会」という御名が指し示す通り、「普く度す」ということなのです。

そうした「普く度す」の具体的な行いとして、「布施」・「愛語」・「利行」・「同事」の4つを学ばせていただきます。
 (注)「布施」は10月の法話にて触れていますので、本稿では「愛語」から始めます。
所用時間 20分 配 布 資 料 あり


法話
第1回 愛語といふは -共に仏に近づく言葉の交わし合い- R4.11.15
第2回 利行といふは -共に仏に近づく行動の施し合い- R4.12.5
第3回 同事といふは -同事に生きた名優を偲んで- R4.12.6

過去の法話
R4.10 布施といふは -永光寺(ようこうじ)誕生に見る「布施」行-
R4.8 偏らない生き方を -「誰一人として取り残されない社会」の実現のために-
R4.1 不退転(ふたいてん) -(しょう)(あき)らめ、死を(あきら)むるは-
R3.4 菩薩(ぼさつ)様”のように生きる
R2.11 仏の慧命(えみょう)嗣続(しぞく)する
R2.8 「“with コロナ”の「お盆」、どう過ごす?」
R2.6 「通夜説教」①~④
R2.5 「コロナに学ぶ“人生の生き方”」
R2.4 「彼岸は此方(ここ)にあり」
R2.3 「遠離 -コロナより怖いのは人間!?-」
R2.2 「坐禅の‶用心″を働かせて」
R2.1 「未来に願うもの ―純白(じゅんびゃく)(ごう)に生きる―」